【メンテナンス】ウエットスーツ寿命が2倍変わる【正しいケア方法】
■ よくある3つの失敗
塩分を落とさずに放置している
海から上がって、そのまま車に積んで帰宅後も放置していませんか?
塩分はウエットスーツ劣化の最大の敵で、生地の奥深くまで浸透して素材を硬くしてしまいます。
裏返しのまま3ヶ月放置されていた修理品を表に返したら、まだ塩水が出てきたという事例もあるほど、塩分は生地に残り続けます。
裏返しのまま保管している
洗った後、裏返しのまま干して、そのまま保管していませんか?
裏返しのままでは内側に湿気が残り、カビや臭いの原因になります。
さらに、表側の状態をチェックする機会を失うため、剥がれやほつれを見逃してしまい、気づいた時には大きな修理が必要になることも。
日向で干して紫外線に当てている
ベランダの日当たりの良い場所に干していませんか?
ウエットスーツは石油製品なので、紫外線に当たるとサーフボードが黄ばむのと同じ原理で素材が劣化します。
日向に干すと乾燥は早いですが、その分だけ生地の寿命が縮んでしまいます。
■ 寿命を延ばす4つの改善ポイント
塩分除去が最重要(ぬるま湯に10分浸ける)
帰宅後は、ぬるま湯(体温以下、40度未満)に10分程度浸けて塩分を溶かし出しましょう。
特にファスナー周り、首周り、股周りは塩が溜まりやすいので念入りに。
熱湯は厳禁で、温度差で接着剤が剥がれてしまうため、特に冬の冷え切ったウエットスーツには絶対に使わないこと。
🔍 重要ポイント: 浸け置きで塩分を溶かし出すのが最も効果的です。踏み洗いより浸け置きの方が生地に優しく、塩分除去の効果も高くなります。
裏→表の2段階乾燥を徹底する
まず裏返しのまま干して内側を完全に乾かし、裏が乾いたら必ず表に返して再度干しましょう。
表に返すことで外側の劣化(剥がれ、ほつれ)を早期発見でき、修理が必要な箇所を見逃しません。
3ミリ以上の厚さだと、裏返しのままでは表側が乾きにくいため、2段階乾燥は必須です。
💡 ポイント: サーキュレーターや扇風機で風を当てると乾燥が早まります。浴室乾燥機も温度が適度で風があるため有効です。
日陰・風通しの良い場所で干す
紫外線を避けて、必ず日陰で風通しの良い場所に干しましょう。
窓際も紫外線が入るので避け、保管場所も完全に日の当たらない冷暗所を選ぶこと。
この習慣を続けることで、5年経っても新品同様の状態を保てます。
やってはいけないNG行為を避ける
以下の行為は、ウエットスーツの寿命を大幅に縮めます。
熱湯をかける:温度差で接着剤が剥がれ、特に冬の冷えた状態から熱湯は致命的
畳んで保管する:シワが付くと取れず、シワの部分から劣化が進む
足で踏んで脱ぐ:生地は伸びても糸は伸びないため、縫い目が破れる
必ず手を使って丁寧に脱ぎ、吊るし保管を基本にしましょう。
■ 実践的なメンテナンス手順
海から上がった直後の処理方法
海から上がる時点で、砂と塩を軽く落としておくと後が楽になります。
車にペットボトルの水を常備しておき、軽く流してから車に積むこと。
砂だらけのまま持ち帰ると、砂が生地を傷つける原因になります。
帰宅後の正しい洗い方
帰宅したら、すぐにぬるま湯(体温以下)に10分程度浸けて塩分を溶かし出しましょう。
ファスナー周りは塩で錆びやすく、故障の原因になるため特に念入りに。
ファスナー修理は高額なので、予防が重要です。
🔍 重要ポイント: 浸け置きで塩分を溶かし出すことが、ウエットスーツを長持ちさせる最も効果的な方法です。水(ぬるま湯)でしっかり洗い流すことを最優先にしましょう。
効率的な乾燥テクニック
まず裏返しのまま干して内側を完全に乾かし、裏が乾いたら必ず表に返して再度干しましょう。
サーキュレーターや扇風機で風を当てると乾燥が早まります。
浴室乾燥機があれば活用し、ドライヤーの冷風・送風モードも使えますが、温風やアイロンは厳禁です。
正しいハンガーのかけ方(海老反りスタイル)
「海老反り」スタイルで、上半身をかけ、下半身を後ろに回して肩に足を乗せることで肩への負担を分散しましょう。
ベルクロ(マジックテープ)の硬い面が他の生地に絡むと、柔らかい生地の表面がケバ立つため注意が必要です。
購入時についていた保護カバーを捨てずに、使わない時はベルクロに付けておきましょう。
💡 ポイント: 最近のウエットスーツ生地は柔らかいので、ベルクロに絡まるとすぐケバケバになってしまいます。ハンガー掛けの際も他の生地に触れないよう注意しましょう。
■ 専用シャンプーの真実
職人が語る「ほぼマーケティング」の本音
30年以上ウエットスーツに携わってきた職人の本音は、「専用シャンプーはほぼマーケティング」ということ。
専用シャンプーを使ったのは人生で1回だけで、その1回も試供品でもらったから試しただけです。
臭い取りには一定の効果がありますが、毎回使う必要は全くありません。
すすぎ残しが逆効果になる理由
専用シャンプーは粘度が高く、水で流しても完全に落とすのが難しいという欠点があります。
すすぎ残した成分が乾燥すると固まり、逆に生地を硬くする原因になります。
中途半端に使うぐらいなら使わない方がマシで、使うなら徹底的に何度もすすぐ必要があります。
🔍 重要ポイント: 「1回使ったことがあるが、落とし切るのがすごく大変だった」という実体験から、余計な成分を残さないことが長持ちの秘訣だとわかります。
基本ケアの方が100倍重要
洗剤にお金をかけるより、「塩分を落とす」「しっかり乾かす」「日陰で保管する」という基本を徹底する方が100倍重要です。
お金をかけるなら、乾燥環境(サーキュレーターなど)や良いハンガーに投資しましょう。
洗剤に何千円もかけるのは優先順位が違います。
■ 正しいメンテナンスを習慣にしよう
この記事で紹介した方法を実践することで、ウエットスーツの寿命を大幅に延ばせます。
雑に扱うと3年で買い替えることになりますが、丁寧に扱えば5年以上使えるようになります。
この差は数万円の節約になり、お気に入りのウエットスーツを長く使い続けられます。
次回のサーフィン後から、塩分除去と2段階乾燥を意識して、ウエットスーツを大切にケアしましょう。
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