【寿命2倍】正しいメンテで【ウエット5年使う秘訣】
■ なぜ5年目でも新品同様？プロが実践する秘訣
ウエットスーツのメンテナンスで、このようなお悩みを持たれている方は多いと思います。
💭 お悩み①: ウエットスーツがすぐに硬くなってしまい、3年程度で買い替えが必要になる
💭 お悩み②: 正しいお手入れ方法がわからず、なんとなく水で流すだけで済ませている
💭 お悩み③: 専用シャンプーを使っているのに、思ったほど効果を感じられない
この記事では、こういったお悩みに答えます。
適切なメンテナンスを行うかどうかで、ウエットスーツの寿命は大きく変わります。
元ウエットスーツ職人の視点から、具体的な手順とポイントを理解して、次回から実践しましょう。
「何年目ですか？」と聞かれて「5年目です」と答えると驚かれるほど、状態の良いウエットスーツを保つことは可能です。雑に扱えば3年で買い替えが必要になりますが、丁寧に扱えば5年以上使えるようになります。
■ ウエットスーツが劣化する3大原因
塩分残留による生地硬化
海水に含まれる塩分は、ウエットスーツの生地を劣化させる最大の原因です。塩分が生地の奥深くまで浸透すると、乾燥後に結晶化して生地を硬くしてしまいます。
実際に、3ヶ月間裏返しのまま放置されていた修理品を表に返したところ、まだ塩水が出てきたという事例があります。それほど塩分は生地の奥まで浸透し、長期間残り続けるのです。
💡 ポイント: 塩分除去は、ウエットスーツメンテナンスの最重要項目です。海から上がった直後と帰宅後の2段階で、徹底的に塩分を落とすことが生地を長持ちさせる秘訣になります。
不完全な乾燥によるカビと臭い
裏返しのまま保管したり、乾燥が不十分なまま次のサーフィンに行ったりすると、内側に湿気が残ります。この湿気がカビや臭いの原因となり、生地の劣化を早めてしまうのです。
特に3ミリ以上の厚さがあるウエットスーツは、裏返しのままでは表側が乾きにくくなります。完全に乾かすには、裏と表の両面をしっかり乾燥させる必要があります。
🔍 重要ポイント: 表に返して干すことで、外側の劣化状態(剥がれ、ほつれ)を早期発見できるメリットもあります。修理が必要な箇所を見逃さないためにも、2段階乾燥を習慣にしましょう。
紫外線による素材劣化
ウエットスーツは石油製品(ネオプレンゴム)でできています。紫外線に当たると、サーフボードが黄ばむのと同じ原理で素材が劣化し、硬化してしまうのです。
日向に干すと乾燥は早くなりますが、その分生地の寿命が縮んでしまいます。窓際での保管も、紫外線が入り込むため避けた方が良いでしょう。
■ 寿命を2倍にする正しいメンテナンス手順
海から上がった直後の応急処置
海から上がる時点で、砂と塩を軽く落としておくと後のメンテナンスが楽になります。車にペットボトルの水を常備しておき、ウエットスーツを脱いだらすぐに軽く流しましょう。
砂だらけのまま持ち帰ると、砂が生地を傷つける原因になります。この段階で大まかな汚れを落としておくことが、生地を守る第一歩です。
帰宅後の塩分除去(ぬるま湯浸け置き10分)
帰宅後は、ぬるま湯(体温以下、40度未満)に10分程度浸けて塩分を溶かし出しましょう。特にファスナー周り、首周り、股周りは塩が溜まりやすいので念入りに処理してください。
熱湯をかけるのは厳禁です。温度差で接着剤が剥がれてしまい、特に冬場の冷え切ったウエットスーツに熱湯をかけると一発でダメージを受けます。
💡 ポイント: 踏み洗いよりも浸け置きの方が生地に優しく、塩分を溶かし出す効果も高くなります。ファスナー周りは塩で錆びやすく、故障すると修理費が高額になるため、予防が重要です。
裏→表の2段階乾燥法
まず裏返しのまま干して内側を完全に乾かし、裏が乾いたら必ず表に返して再度干しましょう。裏返しのまま保管するのは絶対に避けてください。
表に返す習慣があると、外側の劣化(剥がれ、ほつれ)を早期発見できます。「ここがもしかしたら剥がれてきているかも」とすぐにわかるため、修理が必要な箇所を見逃しません。
🔍 重要ポイント: サーキュレーターや扇風機で風を当てると乾燥が早まります。浴室乾燥機も有効で、ドライヤーの冷風・送風モードも使えますが、温風やアイロンは厳禁です。
日陰・風通し重視の干し方
必ず日陰で風通しの良い場所に干し、保管場所も紫外線が入らない冷暗所を選びましょう。日向に干すと乾燥は早いですが、生地の寿命が縮んでしまいます。
5年経っても新品同様の状態を保つためには、日陰保管が必須です。この差が、数万円の節約につながります。
■ 絶対やってはいけない4つのNG行為
熱湯をかける(接着剤剥がれ)
温度差で接着剤が剥がれてしまうため、熱湯をかけるのは避けましょう。特に冬場、冷え切ったウエットスーツに熱湯をかけると致命的なダメージを受けます。
ぬるま湯(体温以下)を使うことで、塩分を溶かしながらも接着剤へのダメージを最小限に抑えられます。
畳んで保管する(シワから劣化)
シワが付くと取れなくなり、シワの部分から劣化が進んでしまいます。吊るし保管が基本で、後述する海老反りスタイルで肩への負担を分散させましょう。
車の中での高温放置も避けてください。熱によって接着剤が劣化し、生地も傷んでしまいます。
足で踏んで脱ぐ(縫い目破壊)
よく見かける光景ですが、足で踏んで脱ぐと一発でウエットスーツが壊れます。生地は伸びても糸は伸びないため、縫い目が破れてしまうのです。
必ず手を使って丁寧に脱ぐようにしましょう。少しの手間が、ウエットスーツの寿命を大きく延ばします。
💡 ポイント: ワックス除去でアイロンを使う人もいますが、素人は避けた方が良いでしょう。焦げたり接着剤が剥がれたりするリスクがあります。
紫外線に当てる(素材硬化)
ベランダの日当たりの良い場所に干すと、素材が硬化してしまいます。サーフボードが黄ばむのと同じ原理で、石油製品であるウエットスーツも紫外線で劣化するのです。
日陰で風通しの良い場所を選ぶことで、乾燥と生地保護の両立が可能になります。
■ プロが教える保管とハンガーのコツ
海老反りスタイルで肩負担を分散
上半身をハンガーにかけ、下半身を後ろに回して肩に足を乗せる「海老反りスタイル」で保管しましょう。この方法なら、肩への負担を分散できます。
通常のハンガー掛けだと、肩の部分に重さが集中して型崩れの原因になります。海老反りスタイルなら、重さが分散されて生地への負担が軽減されるのです。
🔍 重要ポイント: お金をかけるなら、良いハンガー(肩に負担がかからない形状)に投資しましょう。洗剤に何千円もかけるより、保管環境を整える方が優先順位が高くなります。
ベルクロの保護カバー活用法
ベルクロ(マジックテープ)の硬い面(オス側)が他の生地に絡まると、柔らかい生地の表面がケバ立ちます。最近のウエットスーツ生地は柔らかいため、特に注意が必要です。
購入時についていた保護シートを捨てずに保管しておき、使わない時期はシートをベルクロに付けて保管しましょう。ハンガー掛けの際も、他の生地に触れないよう注意してください。
💡 ポイント: ケバ立つと見た目が悪くなるだけでなく、ベルクロがその部分にくっつきやすくなり悪循環に陥ります。予防が最も効果的な対策です。
■ 専用シャンプーは本当に必要？職人の本音
30年で1回しか使わない理由
30年以上ウエットスーツに携わってきた職人の本音は、「専用シャンプーを使ったのは人生で1回だけ」というものです。その1回も、試供品でもらったから試しただけでした。
「シャンプーを使ったからウエットスーツが柔らかくなるとは思わない」という証言からも、専用シャンプーの効果は限定的だとわかります。臭い取りには一定の効果がありますが、毎回使う必要は全くありません。
🔍 重要ポイント: シャンプー&コンディショナーのセット商品も同様で、マーケティング(販売促進)の側面が強い商品だと言えます。臭いが気になる時だけ使えば十分でしょう。
すすぎ残しが逆効果になる問題
専用シャンプーは粘度(とろみ)が高く、水で流しても完全に落とすのが難しいという欠点があります。すすぎ残した成分が乾燥すると固まり、逆に生地を硬くする原因になってしまうのです。
「1回使ったことがあるが、落とし切るのがすごく大変だった」「これ全部流れないな」「これやってたら固くなりそうだなと感じた」という実体験からも、リスクの高さがわかります。
💡 ポイント: 中途半端に使うぐらいなら使わない方がマシです。使うなら徹底的に、何度もすすぐ必要があります。
お金をかけるべきは乾燥環境
洗剤にお金をかけるより、「塩分を落とす」「しっかり乾かす」「日陰で保管する」という基本を徹底する方が100倍重要です。余計な成分を残さないことが、長持ちの秘訣になります。
お金をかけるなら、乾燥環境(サーキュレーターなど)や良いハンガーに投資しましょう。サーキュレーターや扇風機があれば乾燥が早まり、浴室乾燥機があれば活用できます。
■ 基本ケアを徹底して5年以上使おう
基本ケア徹底で5年以上使える
雑に扱うと3年で買い替えが必要になりますが、丁寧に扱えば5年以上使えるようになります。この差は数万円の節約につながり、環境にも優しい選択です。
洗剤よりも基本ケアの方が100倍重要だということを忘れないでください。高い洗剤を買うより、メンテナンス方法にこだわる方がウエットスーツを長持ちさせます。
塩分除去と完全乾燥を最優先に
基本1:塩分をしっかり落とす、基本2:完全に乾かす(裏→表の2段階)、基本3:日陰で風通しの良い場所に干す、基本4:紫外線の当たらない場所で保管する、この4つを徹底しましょう。
余計な成分(洗剤残り)を残さないことが大切です。次回のサーフィンから、これらのポイントを意識してメンテナンスを行ってみてください。
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