ウェットスーツのメンテナンスで、このようなお悩みを持たれている方は多いと思います。
💡 お悩み①:洗い方がよくわからず、なんとなく水で流すだけで済ませている
💡 お悩み②:数年でウェットスーツが硬くなったり、破れたりしてしまう
💡 お悩み③:専用シャンプーを使うべきか、普通の洗剤でいいのか判断できない
この記事では、こういったお悩みに答えます。
正しいメンテナンスを知っているかどうかで、ウェットスーツの寿命は大きく変わります。
プロのウェットスーツ職人からのアドバイスを参考に、今日から実践できるケア方法を理解しましょう。
✓ ウェットスーツが傷む3つの原因

■ 塩と砂の残留がダメージの元凶
ウェットスーツの劣化で最も多い原因が、塩と砂の残留。海から上がった後、表面だけ軽く流して終わりにしていると、生地の内側に塩分が残り続けてしまいます。
塩は生地を硬化させ、砂は繊維を傷つける。特に裏返しのまま保管していると、3ヶ月経っても内側が湿っているケースもあり、これではカビや悪臭の原因にもなります。
■ 不適切な乾燥が寿命を縮める
裏返しのまま干しっぱなしにしていると、内側が完全に乾かず、外側だけが劣化していきます。特に冬用のセミドライは生地が厚いため、裏面の乾燥には時間がかかります。
また、畳んで保管するとシワができ、その部分に常にテンションがかかり続けることに。シワの部分は接着剤が剥がれやすく、破れの原因にもなります。
■ 熱と紫外線が素材を変質させる
ウェットスーツは石油製品のため、熱と紫外線に弱い性質を持っています。熱湯をかけたり、直射日光に当てたりすると、接着剤が剥がれたり生地が硬化したりします。
特に冬場、冷たい海から上がった直後に熱いシャワーを浴びると、急激な温度差で接着部分にダメージが。車内に放置するのも、夏場は高温になるため避けたいところ。
✓ 正しい洗い方の基本

■ 水に浸けて塩砂を自然に落とす
最も効果的な洗い方は、バケツや浴槽に水を張り、ウェットスーツを10分ほど浸けておくこと。踏み洗いをする方もいますが、生地への負担を考えると、浸け置きの方が優しい方法です。
特にファスナー周りや首周り、手首周りは塩が残りやすいポイント。これらの部分は軽く手で揉み洗いすると、より確実に塩分を除去できます。
🔧 ポイント:海から帰る前に、波打ち際でウェットスーツの表面を軽く洗い流すだけでも、持ち帰る塩分量は大きく減らせます。この一手間が、後の洗浄を楽にしてくれます。
■ シャンプーは臭いが気になる時だけ
専用シャンプーは必須ではありません。むしろ、洗剤成分が残ると生地を硬化させる原因になることも。
どうしても臭いが気になる場合は、普通のボディソープやシャンプーで十分。ただし、使用後は念入りにすすぎ、洗剤成分を完全に落とすことが重要です。
⚡ ポイント:専用シャンプーを使う場合も、泡切れの良さを重視しましょう。粘着性の高い製品は、すすぎ残しのリスクが高くなります。柔軟剤や食器用洗剤は、ケミカル成分が強すぎるため避けたいところ。
■ 熱湯は接着剤を剥がす
ウェットスーツの修理では、接着部分を剥がす際にアイロンを使います。つまり、熱は接着剤の大敵。
特に冬場、冷え切ったウェットスーツに熱いシャワーをかけると、急激な温度変化で接着部分にダメージが。体温程度のぬるま湯であれば問題ありませんが、熱いと感じる温度は避けましょう。
🔍 ポイント:体温程度のぬるま湯なら問題ありませんが、顔に当てて熱いと感じる温度は避けましょう。日陰で風通しの良い場所に干すのが、最も生地に優しい乾燥方法です。外で着替える場合、温水シャワーを浴びたくなる気持ちはわかりますが、ウェットスーツを着たまま熱いシャワーを浴びるのは避けましょう。特にファスナー部分は、熱によるダメージを受けやすい箇所です。
✓ 長持ちさせる乾燥テクニック

■ 裏面を完全に乾かすことが最優先
ウェットスーツを裏返して干すのは正解ですが、そのまま放置するのは間違い。裏面が完全に乾いたら、必ず表に返して干し直しましょう。
特にセミドライなど厚手のウェットスーツは、裏面の乾燥に時間がかかります。触って湿り気を感じなくなるまで、しっかり乾かすことが重要です。
⚡ ポイント:サーキュレーターを使えば、乾燥時間を大幅に短縮できます。風を当てることで、一晩で裏表ともに乾かすことも可能。浴室乾燥機も効果的な方法です。
■ 表に返して日陰で仕上げ乾燥
裏面が乾いたら表に返し、日陰で風通しの良い場所に干します。直射日光は生地を劣化させるため、必ず日陰を選びましょう。
表に返すことで、裏返しのまま保管した時にできるシワを防げます。また、表面の状態をチェックできるため、ほつれや破れの早期発見にもつながります。
🔍 ポイント:裏面が完全に乾いたら必ず表に返し、ハンガーにかけて保管することが基本。エビ型(上半身をかけて、腰から下を後ろに回す形)で干せば、肩への負担も分散できます。窓際など紫外線が入る場所も避けたいところ。ウェットスーツは石油製品のため、サーフボードが黄色く変色するのと同じように、紫外線で素材が変質してしまいます。
■ ハンガー掛けで形を保つ
完全に乾いたら、ハンガーにかけて保管します。エビ型(上半身をかけて、腰から下を後ろに回す形)で掛けると、肩への負担が分散され、型崩れを防げます。
畳んで保管すると、折り目の部分に常にテンションがかかり、その部分から劣化が進みます。特に手首や足首は、シワができると破れやすくなる箇所です。
⚡ ポイント:車に持ち運ぶ際も、エビ型のまま棒ハンガーにかけておけば、車内でもシワなく保管できます。ペットボトルを車に常備しておけば、帰宅前に軽く洗い流すことも可能です。
✓ 保管時の注意点

■ ベルクロの扱いで寿命が変わる
ベルクロ(マジックテープ)の硬い方が、ウェットスーツの柔らかい生地に引っかかると、生地がケバケバになってしまいます。最近の生地は柔らかいため、特に注意が必要です。
使わない時期は、購入時についていた保護シートをベルクロに貼り付けておきましょう。これだけで、生地へのダメージを大きく減らせます。
🔍 ポイント:ベルクロが他の生地に引っかかると、見た目が悪くなるだけでなく、次回使用時にさらに引っかかりやすくなります。保護シートを紛失した場合は、布テープなどで代用できます。
■ 冷暗所での保管が理想的
保管場所は、直射日光が当たらず、風通しの良い冷暗所が理想。クローゼットの中でも、窓際は避けたいところです。
湿気の多い場所も避けましょう。完全に乾いていても、湿度の高い場所に長期間置くと、カビや悪臭の原因になります。
⚡ ポイント:シーズンオフの長期保管前には、特に念入りに洗浄と乾燥を。塩分が残ったまま数ヶ月保管すると、次のシーズンには生地が硬化していることもあります。
■ ワックスの付着にも注意
パドリング時に胸の部分にワックスが付着することがあります。ワックスも石油製品のため、放置すると生地に染み込んでしまいます。
ワックスの除去は難しく、無理に落とそうとすると生地を傷める可能性も。気になる場合は、ウェットスーツのリペア業者に相談するのが安全です。
🔍 ポイント:ワックスの付着を防ぐには、ボードのワックスを定期的に塗り直し、古いワックスを除去することが効果的。粘着性の高いワックスほど、ウェットスーツに付着しやすい傾向があります。
✓ 今日から実践できるケア習慣を身につけよう

ウェットスーツのメンテナンスは、特別な道具や技術は必要ありません。
基本は「塩と砂を落とす」「しっかり乾かす」「適切に保管する」の3つだけ。この3つを意識するだけで、ウェットスーツの寿命は大きく変わります。
⚡ ポイント:海から上がったら、まず波打ち際で軽く洗い流す。帰宅したら水に浸けて塩分を除去し、裏面を完全に乾かしてから表に返す。この流れを習慣化すれば、5年以上快適に使い続けることも可能です。
高価なウェットスーツだからこそ、日々のケアを大切にしましょう。正しいメンテナンスは、快適なサーフィンライフを支える基本です。



